【うつぶせ足ふり】背骨・骨盤・股関節をゆらして狭窄症を悪化させる姿勢を改善!|カラダネ

【治す】自力改善

【うつぶせ足ふり】背骨・骨盤・股関節をゆらして狭窄症を悪化させる姿勢を改善!

著者:帝京科学大学医学教育センター特任教授・整形外科専門医 渡會公治

骨格のゆがみが神経を圧迫する  

痛みがあったら、それを悪化させないような治療をいち早く行う必要があります。そして、どうしようもないときだけ、手術は行われるべきです。だからこそ、私は「症状が軽いうちに上手に治す」「激しい痛みが出ないように予防する」ことを心がけて治療に当たっているのです。

治療では、患者さんに体の上手な使い方を指導していて、姿勢や骨格のゆがみを正し、体のバランスを整えることを重視します。

というのも、体を上手に使っていない人は、立ち方や歩き方のクセで腰やひざに負担がかかり、腰痛やひざ痛が現れやすくなるからです。これに加齢が加わると、腰部脊柱管狭窄症や変形性脊椎症、変形性膝関節症などが起こる人が多いのです。

正常な背骨は、体を横から見るとゆるやかなS字型のカーブを描いていますが、それがくずれると、椎間板がはみ出たり靭帯(骨と骨をつなぐ丈夫な線維組織)が厚くなったりして、脊柱管が狭くなるのです。こうなると、脊柱管を通る神経が圧迫されて、足腰に痛みやしびれが生じやすくなります。

では、脊柱管狭窄症を予防・改善するには、体をどう使えばいいのでしょうか。
私は、体を上手に動かすための心がまえとして、1:アナトミー(解剖学)、2:アライメント(調整)、3:アウェアネス(気づき)の三つの要素を提唱しています。
つまり、1:体の構造を知り、2:体のパーツ(部品)をうまく並べて、3:正しい使い方に気づくことこそ、運動の作用を高め、的確な作用を得ることにつながると考えているのです。

この三つの要素をもとにした脊柱管狭窄症の予防・改善法として、大きな作用が期待できる体操が「うつぶせ足ふり」です。

股関節や背骨をほぐして整える

うつぶせ足ふりは、うつぶせになってひざを曲げて両足を車のワイパーのように左右に振る体操です。
もともと人間以外の脊椎動物(背骨のある動物)は、ほとんどが腹ばいで行動しています。つまり、うつぶせになることは、私たちの本来の体のしくみにかなった姿勢なのです。
そうしたうつぶせの状態で足を振ると、日ごろ、あまり動かす機会のなかった上半身と下半身をつなぐ骨盤や股関節、上半身を支える背骨の周囲を十分にほぐして整えることができます。同時に、背骨・股関節・骨盤を取り巻く筋肉を鍛えることにも役立つと考えられるのです。

うつぶせ足ふりを毎日行えば、しだいに背骨や股関節はもとより、姿勢のゆがみまで正されていくと考えられます。その結果、脊柱管にかかっていたストレスが減少し、神経への圧迫が除かれることが期待できるのです。
うつぶせ足ふりは、足の重さを利用するため、小さな力で大きな運動作用が得られます。さらに、うつぶせで行うので、立っていると腰が痛むという人でも、上半身の体重が腰にかからないため、少ない負担で行えるという利点があります。

うつぶせ足ふりには、ひざと足首の間を少し離して、足を2本のワイパーのように振る「2本足ふり」と、両ひざと両足首をピタリとつけて1本のワイパーのように振る「1本足ふり」の2種類があります。

くわしいやり方は、以下の記事でご覧ください。

・記事の内容は安全性に配慮して紹介していますが、万が一体調が悪化する場合はすぐに中止して専門医にご相談ください。
・医療機関にて適切な診断・治療を受けたうえで、セルフケアの一助となる参考情報として、ご自身の体調に応じてお役立てください。
・本サイトの記事は、医師や専門家の意見や見解であり、効果効能を保証するものでも、特定の治療法・ケア法だけを推奨するものでもありません。

出典

●脊柱管狭窄症克服マガジン 腰らく塾 Vol.1 2017冬号
http://wks.jp/koshiraku001/

●脊柱管狭窄症をいちから知りたい方は、ぜひ下の記事をご覧ください。

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