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脊柱管狭窄症の革命的検査法[立位MRI]でベストな治療法を選択できたすごすぎる実例集・その②

著者:田毅クリニック院長 内田 毅

脊柱管狭窄症の診断には、「MRI(磁気共鳴断層撮影装置)」が欠かせません。しかし、従来のMRIでは寝た姿勢で検査を受けるため、日常生活で基本的な立ち姿勢とは頸椎や腰椎の状態などが異なり的確な診断が難しいことがありました。
そこで、立った姿勢でMRIの検査ができる「立位撮影機能搭載MRI」(以下、立位MRI)が注目されています。
立位MRIは、立ったままMRI検査を行うことできて日常の姿勢に近い状態がわかるので、より的確な診断が行えます。
この記事では、実際に立位MRIを診断に導入している内田毅クリニック院長の内田毅先生に、実際に検査を受けて的確な診断ができた患者さんの例を紹介してもらいます。

●立位MRIについては、下の記事をご覧ください。

痛みが顕著に和らぎ歩ける時間も延びた

立位MRIの検査を受け、治療に役立った患者さんを紹介しましょう。神奈川県に住む宮本顕子さん(75歳・仮名)は、3年前から腰痛や左右下肢痛に悩まされるようになりました。左右の下肢痛は、お尻から太もも、ふくらはぎにかけて現れ、間欠性跛行(こま切れにしか歩けなくなる症状)で3分も歩けない状態だったそうです。
病院の整形外科でMRI検査を受けたところ、脊柱管狭窄症と診断されました。医師からは、「そんなに強く狭窄されているわけではありませんから薬でようすを見てください」といわれ、鎮痛薬と血流改善薬が処方されただけでした。
しかし、薬物療法を半年間続けても足腰の痛みやしびれに変化はなく、間欠性跛行も改善しなかったといいます。
常々、自分はもっと重症なのではないかと感じていた宮本さんは、脊柱管狭窄症の治療を専門としている当クリニックに転院したのです。
早速、立位MRIで腰椎を撮影したところ、あおむけ寝と立った姿勢での狭窄の違いは一目瞭然でした。
上の2つの画像を見比べてください。左はあおむけ寝で撮影した画像で、第4腰椎が軽く前後にすべっているにすぎません。それが、立った姿勢で撮影した右の画像を見ると、第4腰椎と第5腰椎の間が強く狭窄されています。また、第3腰椎と第4腰椎の間にも狭窄が認められます。
そこで、腰痛や両足のしびれを抑えるために、神経ブロック(神経の周囲に局所麻酔薬を注射する治療法)を実施しました。同時に、立った姿勢での狭窄を和らげるために腰回りを鍛える運動療法を行ってもらい、鎮痛薬は必要に応じて飲んでもらいました。
最初の1ヵ月間、神経ブロックを週1回受けてもらったところ、腰痛と左右の下肢痛が軽減し、3ヵ月後には、一度に10分以上歩けるようになり、近くのバス停までらくに行けるようになりました。
今でも月1回、当クリニックに通院している宮本さんですが、転院当初に比べて腰痛や左右の下肢痛は大幅に軽減し、15分以上歩けるようになったと喜んでいます。

●宮本さんのMRI画像
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あおむけ寝では第4腰椎のすべりが見られる程度だが、立った姿勢では第4と第5腰椎の間の狭窄が強いことがわかる。

適切に手術を受けて怖い排尿障害を回避

神奈川県に住む柳澤孝さん(75歳・仮名)は、5年前に他院で頸椎症の手術を受けた患者さんです。当初、脊柱管の狭窄が認められたのは、症状のある頸椎だけでしたが、3年前から左下肢痛や間欠性跛行、頻尿・排尿障害に悩まされるようになったのです。
当クリニックを受診した柳澤さんは、立位MRIで腰椎の状態を撮影しました。それが上の2つの画像です。
左側はあおむけ寝で撮影した画像で、第2腰椎から第5腰椎にかけて軽度のすべりが認められます。これを見るだけでは、それほど深刻な状態とはいえません。これに対し、右側は立った姿勢で撮影した画像です。第4腰椎と第5腰椎の間が非常に強く狭窄されており、頻尿・排尿障害が起こったのは、脊髄の末端に当たる馬尾が強く狭窄されたからでしょう。
柳澤さんの希望で、神経ブロックなどの保存療法(手術以外の治療法)で改善を試みることになりました。
しかし、左足のしびれが強くなり、間欠性跛行が悪化したうえに、尿もれも起こるようになったため、柳澤さんは今年、手術を受けたのです。
一般に、脊柱管狭窄症の手術では椎骨の一部を切除し、神経の圧迫を解消する除圧術が多く行われます。しかし、柳澤さんの場合は、腰椎全体が不安定なので、除圧に加えて背骨をチタン製のネジ棒で固定する、腰椎後方除圧固定術を受けてもらいました。
手術後、腰痛と下肢痛は大幅に軽減し、1時間以上歩けるようになりました。頻尿は残っていますが、もう尿もれの心配はありません。
柳澤さんは、立ち姿勢で強い狭窄が見つかったことで、深刻な排尿障害になる前に手術を決断できたといえます。

●柳澤さんのMRI画像
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あおむけ寝では第2〜第5腰椎のすべりが見られる程度だが、立った姿勢では狭窄が強く第4と第5腰椎の間に狭窄も見られる。

左腕・左手のしびれが劇的に改善した

神奈川県に住む石川清美さん(49歳・仮名)は、半年前に、首・左肩の痛みや、左腕から左手親指にかけて強いしびれが現れました。
当初は寝違いだろうと軽く考えていましたが、症状は悪化するいっぽうでした。特に、長く立っていると左腕・左手のしびれがひどくて、腕を上げたり、物を持つことが困難になったそうです。これでは、家事をすることすらままなりません。そこで石川さんは、近所にある当クリニックを受診したのです。
問診で、立ったときに症状が悪化するという話を聞き、ピンときた私は、立位MRIで頸椎を撮影しました。それが左上の2つの画像です。
左側はあおむけ寝で撮影した画像で、第5頸椎と第6頸椎の間に軽い椎間板ヘルニアを認めるにすぎません。
一方、右側の立った姿勢で撮影した画像では、第5頸椎と第6頸椎の間にある椎間板ヘルニアが突出し、脊髄を圧迫しているのがわかります。
立った姿勢で椎間板ヘルニアが突出することに、石川さんも驚いていました。
こうした所見と症状の現れ方から石川さんは、頸椎椎間板ヘルニア、左頸椎症性神経根症と診断されました。首痛や肩痛、左腕・左手のしびれは、神経根(脊髄から枝分かれした神経の根元の部分)の圧迫によるものでしょう。
治療では、鎮痛薬の服用で症状を抑えながら、リハビリを毎日のように受けてもらいました。すると、1ヵ月後には、長く立っていても左肩・左手のしびれが悪化しなくなったのです。また、肩が上がりやすくなり、ふつうに物を持てるようになりました。
治療開始から1年たった現在、石川さんの首痛・肩痛は消失しました。左腕・左手のしびれは少し残っていますが、立ったときに症状が悪化することはありません。

●石川さんのMRI画像
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あおむけ寝では、頸椎のヘルニアは軽度なのに対し、立った姿勢では、ヘルニアが突出して脊髄を圧迫しているのがわかる。

・記事の内容は安全性に配慮して紹介していますが、万が一体調が悪化する場合はすぐに中止して専門医にご相談ください。
・医療機関にて適切な診断・治療を受けたうえで、セルフケアの一助となる参考情報として、ご自身の体調に応じてお役立てください。
・本サイトの記事は、医師や専門家の意見や見解であり、効果効能を保証するものでも、特定の治療法・ケア法だけを推奨するものでもありません。

出典

腰らく塾_Vol.4_表1(epub).jpg●脊柱管狭窄症克服マガジン 腰らく塾vol.4 2017年秋号
http://wks.jp/koshiraku004/

●脊柱管狭窄症をいちから知りたい方は、ぜひ下の記事をご覧ください。

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