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脊柱管狭窄症の手術は最終手段。8割はしびれが残り再発リスクも

著者:お茶の水整形外科機能リハビリテーションクリニック院長 銅冶 英雄

一般に、薬物療法や神経ブロック注射(神経の周囲に麻酔薬を注射する方法)などの保存療法(手術以外の治療法)を3~7ヵ月続けても、腰部脊柱管狭窄症の症状に改善が見られず、
日常生活に支障がある場合は、手術が検討されます。 手術は、狭くなった脊柱管を物理的に広げて神経の圧迫を取り除くので、根本的な治療になりえます。

マヒや排尿・排便障害があれば手術を検討。長期化するとリスクあり

特に、馬尾(脊髄の末端にある末梢神経の束)が圧迫されて、下垂足(足首から先の部分が上がらずに垂れ下がった状態)などのマヒ症状や排尿・排便障害がある場合は、早急に手術を検討すべきです。こうした障害は保存療法では改善が見込めず、長期に及ぶほど、手術をしても症状の残る可能性が高まるからです。
また、10分(距離に換算すると500m程度)続けて歩けないような重度の間欠性跛行(こま切れにしか歩けなくなる症状)がある場合も、日常生活に支障をきたすので手術をすすめられることが多いようです。

こんなときは手術が必要

07_05_01.jpg足首の先が上がらずに垂れ下がった下垂足などのマヒ症状がある場合。
07_05_02.jpg排尿困難や便秘などの排尿・排便障害がある場合。
07_05_03.jpg10分も続けて歩けないような重度の間欠性跛行があり、日常生活に支障がある場合。

手術は万能ではなく、8割は術後にしびれ

ただし、いくら根治療法といっても、手術も万能ではありません。『腰部脊柱管狭窄症診療ガイドライン』によると、手術によって間欠性跛行の改善は期待できるものの、約8割もの人で下肢(足)にしびれが残るとされています。
また、手術を受けていったんは症状がよくなっても、その後、再発する例も多く見られます。実際、手術を行えば術後4~5年は7~8割の人が良好な状態を保てるものの、
それ以上長期に及ぶと手術による効果が低下するということが、先の『腰部脊柱管狭窄症診療ガイドライン』でも報告されています。 このほか、手術では一定の確率で合併症が起こりうることも忘れてはいけません。
こうしたことから、手術を受けるかどうかの判断は慎重に行うべきでしょう。

脊柱管の狭窄を改善する画期的な運動療法

さて、脊柱管の狭窄の原因が骨などの硬い組織の変形やズレによるものなら、
ドリルで骨を削ったり金具で骨どうしを固定したりする手術でなければ、神経の圧迫を取り除くことはできません。 しかし、椎間板(背骨を構成する椎骨と椎骨をつなぐ軟骨組織)や靭帯(骨と骨をつなぐ丈夫な線維組織)といった軟らかい組織の変形や、動かせる骨と骨のズレが狭窄の原因であれば、手術をしなくても運動療法で神経の圧迫を改善させることが十分に可能なのです。
運動療法を行えば、神経の圧迫の改善が期待できるだけでなく、手術が必要か不要かの判断もできます。脊柱管狭窄症に悩む人は、まずは運動療法に取り組んでみてほしいと思います。
運動療法を行っても改善が認められなかった場合に、手術のことを考えればいいのです。

運動療法で症状が軽減すれば手術回避+根治の可能性も

脊柱管狭窄症の手術を受ける前にまず、運動療法を行って、脊柱管内部の神経の圧迫を除くことができれば、症状の改善が大いに期待できます。
そして、運動療法で日常生活に不便がない程度にまで痛みやしびれ、間欠性跛行などの症状が改善すれ
ば、画像上の狭窄が残っていたとしても、手術を回避することが可能なのです。

というよりむしろ、運動療法を辛抱強く行えば、脊柱管の狭窄を改善し、神経の圧迫を除いて根治に導ける可能性があるのです。 実際に、私のクリニックには、私が開発した運動療法の一つ「痛みナビ体操」を実践して、手術をすることなく、足腰の痛みやしびれ、間欠性跛行を軽減することに成功した患者さんがたくさんいます。「痛みナビ体操」に関して、詳しくは、わかさ出版が発行する「腰の脊柱管狭窄症が革新的自力療法[痛みナビ体操]で治った!」と「坐骨神経痛・腰痛 最新対策セミナーDVD」を参考にしてください。

手術を受ける長所と短所

●長所
狭くなった脊柱管を物理的に広げて神経の圧迫を取り除くので、根本的な治療になりえる。そのため、一般的な保存療法では改善が見込めない馬尾の圧迫も除ける。

●短所
約8割の人で下肢にしびれが残るとの報告があり、再発例も多い。また、一定の確率で合併症も起こる。 椎間板や靭帯といった軟らかい組織の変形や、動かせる骨と骨のズレが狭窄の原因であれば、手術をしなくても運動療法で神経の圧迫を改善させることが十分に可能。

・記事の内容は安全性に配慮して紹介していますが、万が一体調が悪化する場合はすぐに中止して専門医にご相談ください。
・医療機関にて適切な診断・治療を受けたうえで、セルフケアの一助となる参考情報として、ご自身の体調に応じてお役立てください。
・本サイトの記事は、医師や専門家の意見や見解であり、効果効能を保証するものでも、特定の治療法・ケア法だけを推奨するものでもありません。

狭窄症_痛みナビ_cover.png出典:わかさ夢ムック5 腰の脊柱管狭窄症が革新的自力療法[痛みナビ体操]で治った!
http://wks.jp/mook005/
douyaDVD_M.jpg参考資料:わかさ夢DVDライブラリー② 坐骨神経痛・腰痛 最新対策セミナーDVD
http://wks.jp/dvdmook002/
著者:銅冶英雄

●脊柱管狭窄症をいちから知りたい方は、ぜひ下の記事をご覧ください。


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