脊柱管狭窄症の体操「8の字スクリュー」で深層筋(インナーマッスル)を鍛え体幹バランス強化|カラダネ

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脊柱管狭窄症の体操「8の字スクリュー」で深層筋(インナーマッスル)を鍛え体幹バランス強化

著者:清水整形外科クリニック院長 清水伸一

脊柱管狭窄症のつらい症状を和らげるには運動療法が有効です。そのひとつが「8の字スクリュー」。無理なく続けられる体操です。
脊柱管狭窄症の人は、必ず整形外科専門医の治療を受け、セルフケアの一環として記事の運動を試してみてください。

腰椎への負担を分散させる

多くの中高年を悩ます腰部脊柱管狭窄症は、最初は不良姿勢によって生じた腰椎(背骨の腰の部分)の小さなゆがみやひずみにしかすぎません。

ところが、小さなダメージが少しずつ蓄積されると、椎骨(腰椎を構成する骨)・椎間板(クッションの役目をする軟骨)・靱帯(骨と骨をつなぐ丈夫な線維組織)などの組織が徐々に変性して、脊柱管が狭まってしまうのです。
人間の背骨は、S字カーブ(ナチュラルライン)を描くことで、体の重さや衝撃を背骨全体にうまく分散させています。
しかし、長年の不良姿勢によって背骨本来のS字カーブがくずれると、腰椎の1ヵ所だけに負担が集中するようになり、そこに狭窄が生じるのです。
ですから、脊柱管狭窄症の悪化を防いで、改善に導くカギは、狭窄が生じている部分の負担を減らすこと。

そのためには、背骨本来のS字カーブにできるだけ近づけて、狭窄部位にかかる負担を腰椎全体にうまく分散させる必要があるのです。

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深層筋(インナーマッスル)を鍛えて体幹力強化

ところで、腰痛の患者さんの多くは、「腰痛を緩和させるために、腹筋と背筋を鍛えることが大事」などと、指導された経験があると思います。
しかし、腹筋と背筋が発達したスポーツ選手や体を使う仕事をする人にも、脊柱管狭窄症は発生します。腹筋と背筋のトレーニングに励んだことで、腰痛をかえって悪化させてしまうケースも少なくありません。
腰椎の負担を分散させるなら、腹筋と背筋だけではなく、「体幹」に注目する必要があります。

体幹とは、頭と手足を除いた人間の胴体部分のことですが、一般に、体を揺るぎなく支える筋骨格のことを指します。
体幹のうち、背骨を家の柱にたとえると、柱を支える土台に当たるのが、骨盤の中心にある仙骨です。
仙骨の左右には仙腸関節があり、これが体の重みや衝撃を軽減する働きをしています。いわば地震の揺れを低減させる免震システムのようなもので、そのおかげで骨盤は、体の重みや衝撃を柔軟に受け止めることができるのです。

そして、背骨や骨盤の周辺には、体幹を支える背中の多裂筋や腹部の腹横筋などの深層筋(インナーマッスル)があって、柱と土台をしっかりと支えています。
このように、背骨・骨盤・深層筋などのバランスが取れていて初めて、私たちは背骨のS字カーブを保持することができるのです。

02_04_02.png02_04_03.pngところが、積年の不良姿勢の影響で背骨のS字カーブがくずれると、骨盤が後ろに傾き、そのために仙腸関節にひずみが生じて可動域(動かせる範囲)が狭まり、免震システムがうまく働かなくなります。

そして、腰椎の1ヵ所に負担が集中するようになって、そこに狭窄が生じてしまうのです。
しかし、逆に考えると、背骨のS字カーブを取り戻せれば、脊柱管狭窄症の悪化を防いだり、症状の改善を促したりすることが期待できるわけです。

そして、その切り札となるのが、体幹の柱と土台の周囲にある深層筋を鍛えることです。

衰えがちな深層筋を鍛えれば、柱をしっかりと支え、土台を安定させるのに役立ち、病状の悪化防止や改善につながります。 実は、腹筋と背筋は浅層筋(アウターマッスル)で、曲げる・伸ばす・力を加えるといった働きを得意としています。
そのため、いくら腹筋と背筋を鍛えても、背骨のS字カーブを保持するのにはあまり役に立たず、腰痛の改善にはつながらなかったわけです。
脊柱管狭窄症の悪化防止や改善のために、私が患者さんにおすすめしているのが、深層筋を鍛える体幹トレーニングです。

深層筋を無理なく鍛えることができる8の字スクリューのやり方について、くわしく説明しましょう。

フープの要領で腰を回す「8の字スクリュー」で痛みがすぐ軽減する人も

まず、両足を広げてまっすぐに立ち、顔を正面に向けます。

このとき、両足の爪先をやや外側に広げて立つと安定感が増します。前かがみ姿勢がクセになり背骨本来のS字カーブが失われた人は、ニュートラルポジション(それ以上に反らすと症状が現れる上体の傾き)まで上体を起こしてください。

次に、フープを回す要領で、数字の8を描くように水平に腰を動かします。
ゆっくりと、大きく8の字を描くのがコツです。8の字を5回描いたら、腰を反対回りに5回動かして1セットとし、朝・昼・晩の1日3回、1セットずつ行ってください。

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8の字スクリューは、とても簡単な体操ですが、脊柱管狭窄症の症状の改善に役立つ深層筋を効率よく鍛えて、体幹を整えることができます。

体操を続けて体幹に筋力がつくにつれ、腰椎と骨盤が安定し、日常の動作がらくになってくるのがわかるでしょう。歩ける距離も延びて、転びにくくなってくるはずです。
体操を行う前には、固まった腰の筋肉を手でもんでほぐしてから行うのがおすすめです。ただし、1回に30回以上行うと腰の痛みが増す場合があるのでさけてください。

8の字スクリューは安全な体操ですが、もし、体操を続けて痛みが強まったり、症状が悪化したりした場合には、すぐに中止して専門医に相談してください。

以下の動画でも8の字スクリューのやり方を解説しています。
ぜひ、動画を見ながら動きを確認をしてみてください。

脊柱管狭窄症患者の7割に好評の体操

腰部脊柱管狭窄症の患者さんの中には、治療を医師まかせにせず、自分の腰痛と向き合って積極的にトレーニングに励み、症状が軽快している人がいます。
私に治療のヒントをくれるのは、そうした常に前向きの患者さんたちです。

当院では、そんな患者さんからトレーニング法や生活のコツを聞いて私なりに解釈し、無理なく続けられる体操に仕上げて、ほかの患者さんにも試してもらっています。
「8の字スクリュー」は、そうしてできた体操の一つです。

脊柱管狭窄症で、前かがみ姿勢がクセになり、腰痛に悩まされた一人の患者さんが、「腰をほぐすためにフープを始めたところ、腰がしなやかになり、足腰がしっかりしてきた」というのが、ことの発端でした。

実際に私もフープを買って実践したところ、直後に確かに腰が軽くなりました。
そこで、フープがなくても誰にでも簡単に、どこでも安全にできるようにと、工夫を重ねた末に生まれたのがこの8の字スクリューです。
脊柱管狭窄症の患者さんに指導したところ、なんと約70%の人に好評だったのです。

・記事の内容は安全性に配慮して紹介していますが、万が一体調が悪化する場合はすぐに中止して専門医にご相談ください。
・医療機関にて適切な診断・治療を受けたうえで、セルフケアの一助となる参考情報として、ご自身の体調に応じてお役立てください。
・本サイトの記事は、医師や専門家の意見や見解であり、効果効能を保証するものでも、特定の治療法・ケア法だけを推奨するものでもありません。

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出典:わかさ夢ムック1 腰と首の脊柱管狭窄症に絶対勝つ!あっと驚く自力克服道場
http://wks.jp/mook001/
著者:清水伸一

●脊柱管狭窄症をいちから知りたい方は、ぜひ下の記事をご覧ください。


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