【一問一答】薬でもよくならない狭窄症が運動療法で本当によくなるのですか?|カラダネ

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【一問一答】薬でもよくならない狭窄症が運動療法で本当によくなるのですか?

著者:お茶の水整形外科 銅冶英雄

「名医が答える一問一答」のコーナーでは、多くの脊柱管狭窄症の患者さんが疑問に思っていることやよくある質問などに脊柱管狭窄症の名医が答えるコーナーです。
今回、質問に答えてくれる名医は、お茶の水整形外科 機能リハビリテーション クリニック院長・銅冶英雄先生です。

薬物療法などは脊柱管狭窄症を根治させるわけではない

薬でよくならなくても、自分に合った運動療法を行うことで、痛みやしびれを軽減させることが期待できます。
脊柱管狭窄症の治療で処方される薬は、痛みやしびれを和らげる目的で使われ、脊柱管狭窄症を根治するわけではありません。
脊柱管狭窄症は、脊椎のさまざまな組織が複合的に変性(加齢性変化)することで起こります。具体的には①椎間板(椎骨と椎骨をつなぐ軟骨組織)の変性、②椎体(椎骨の前部)の変形、③椎間関節の変性、④靱帯(骨と骨をつなぐ丈夫な線維組織)の肥厚、⑤椎体がずれた腰椎すべり症、⑥腰椎(背骨の腰の部分)が横に曲がる変性側弯で、これらの要因が、複雑に絡み合って脊柱管を狭窄させているのです。
手術を受ければ、脊柱管の狭窄を広げることはできますが、脊柱管を広げても痛みやしびれが改善しないこともあります。その理由は今なおわかっていませんが、狭くなった脊柱管を広げれば症状がなくなるという単純な話ではないのです。

正しく行う運動療法は安全性の高い治療法

だからこそ、自分に合った運動療法を行う必要があります。運動療法には以下の効果が考えられます。
●膨隆した椎間板を戻し、脊柱管や椎間孔(脊髄から左右に枝分かれした神経根の出口)を広げる効果
●肥厚した靱帯を伸ばして、脊柱管を広げる効果
●腰椎すべり症でずれた椎体をもとに戻す効果
●変性側弯症で曲がった腰椎を矯正する効果
●椎間関節のひずみを戻して椎間孔を広げる効果
以上の効果により、運動療法で狭窄症の症状が改善するのではないかと思われます。
運動療法は、薬のような副作用がなく、正しく行えば安全性の高い治療法です。

運動療法の効果など、くわしい解説は、以下の記事をご覧ください。
脊柱管狭窄症の原因~複雑な要因がからむ厄介な腰痛は「運動療法」で克服へ~

・記事の内容は安全性に配慮して紹介していますが、万が一体調が悪化する場合はすぐに中止して専門医にご相談ください。
・医療機関にて適切な診断・治療を受けたうえで、セルフケアの一助となる参考情報として、ご自身の体調に応じてお役立てください。
・本サイトの記事は、医師や専門家の意見や見解であり、効果効能を保証するものでも、特定の治療法・ケア法だけを推奨するものでもありません。

出典

16年8月号_Mid.jpgわかさ8月号 脊柱管狭窄症克服の極意 名医10人の111問111答
http://wks.jp/wakasa1608/
著者:銅冶英雄

●脊柱管狭窄症をいちから知りたい方は、ぜひ下の記事をご覧ください。


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