健康雑誌の[脊柱管狭窄症]読者アンケート~50代以前の発症が2割、半数以上が歩行に悩み~|カラダネ

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健康雑誌の[脊柱管狭窄症]読者アンケート~50代以前の発症が2割、半数以上が歩行に悩み~

著者:清水整形外科クリニック院長 清水 伸一

脊柱管狭窄症は謎の多い治りにくい病気で、その実態がまだよくわかっていません。
日本整形外科学会でも、明確な診断基準をいまだ定められずにいます。

そこで、健康雑誌『わかさ』編集部では、『わかさ』2015年月号(脊柱管狭窄症の大特集号)において、読者のみなさんを対象に、脊柱管狭窄症実態調査アンケートを行いました。

その結果、512名から回答が集まりました(有効回答数。男性251名、女性261名)。 すると、今までわからなかった脊柱管狭窄症の実態が、浮き彫りになってきたのです。

狭窄症の若年化? 症状は50代以下からが2割

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脊柱管狭窄症の症状が始まったのは何歳のころ?という問いに対しては、グラフに示したように、60代以降に発症したと答えた人が76%を占めていました。
興味深かったのは、50代以下で発症した人が22%もいたことで、狭窄症の若年化が進んでいることがうかがい知れました。

狭窄症の診断は60代以上が8割超

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狭窄症と診断されたのは何歳のころ?という問いに対しても、60代以上と答えた人が83%を占め、70代が最も多いという結果になりました。

腰痛歴のある人が大半。ぎっくり腰経験者は4割

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狭窄症の発症前に腰痛で悩んだ経験があると答えた人は71%おり、その病名はギックリ腰が40%、腰椎椎間板ヘルニアが25%と合わせて65%を占めていました。

このように、狭窄症は、腰痛を招くさまざまな病気の最終形態として現れ、まさに生活習慣病であることがはっきりとしてきました。
そのため、ギックリ腰や椎間板ヘルニアを経験した人は、たとえ腰痛がよくなっても安心できず、狭窄症への進行を予防する方策が必要であることがわかりました。
さもないと、将来的に狭窄症を招き、長年にわたり足腰の痛みやしびれに悩みつづけることになりかねません。

1年以上悩んでいる人が8割弱

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実際に、狭窄症に悩んでいる期間をたずねてみると、1年超悩んでいると答えた人が77%を占めており、19%の人は実に7年以上も悩まされていたのです。

狭窄症のタイプ半数以上はわからない

07_01_06.png 狭窄症のタイプはわかりますか?の問いには、64%の人がわからないと答えていました。もしかすると、狭窄症の専門医の診察を受けていない人が多いのかもしれません。
自分の狭窄症のタイプを知っておくことも重要でしょう。
詳しくは、脊柱管狭窄症の3タイプ分類で未来の症状と治療法が見えるへ。

悩みのタネは歩行障害。200m歩けない人が半数以上

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07_01_08.png 間欠性跛行(こま切れにしか歩けなくなる症状)をはじめとする歩行障害に悩んでいる人が大多数を占めました。そこで、一度に歩ける距離をたずねたところ、200m未満と答えた人が大半を占めていました。
狭窄症以外で悩んでいる病気・症状は?という質問に対し、高血圧や冷え症、心臓病などが多くあがりました。そのことから狭窄症の病状は全身の血流と深い関係にあることもわかってきたのです。

困っていること1位は歩行、引きこもりがちになり生活の質が下がる

07_01_10.png 生活で特に困っていることは?という質問に対し、「歩行」と答えた人が53%と半分以上に達しました。

腰部脊柱管狭窄症になると、最も特徴的な症状として間欠性跛行が現れます。
間欠性跛行は、歩いているうちに脊柱管を通る神経や血管が断続的に圧迫される結果、神経に炎症やむくみ、あるいは血流障害が生じて足腰の運動機能や感覚機能が低下し、こま切れにしか歩けなくなってしまう症状のことです。
歩行中に足腰に痛みやしびれが生じて歩けなくなりますが、前かがみになって休めば、再び歩けるようになるのが特徴です。

脊柱管狭窄症の症状としては、間欠性跛行のほか、ふくらはぎや太もも、腰や殿部に痛みやしびれを感じることが多くあります。これらも歩行障害の原因となります。
歩行障害がやっかいなのは、社会生活に支障が生じることです。友人とよく旅行に出かけていた人が「迷惑をかけたくない」といって家に引きこもりがちになったり、デパートやスーパーの店内を歩き回るのがつらくて買い物に出なくなったりする人もいます。

ほかにも、横断歩道を渡る途中や駅のホームに電車が到着したときなどに間欠性跛行が起こると、車にクラクションを鳴らされたり、思うように歩けずに電車に乗り遅れたりして、精神的に参ってしまうこともあります。

また、歩行中に間欠性跛行が起こると、転倒する危険も大きくなり、大ケガの原因にもなります。打ちどころが悪くて骨折してしまえば、長期間の安静が必要となり、その結果、足腰が衰えて最悪の場合には寝たきり になることも考えられます。 このように、歩行障害は、脊柱管狭窄症の患者さんのQOL(生活の質)を低下させる重大原因となっています。

困っていること2位が立ち仕事。買い物、庭仕事、掃除と続く

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生活で困っていることの回答で二番めに多かったのが「立ち仕事」で、29%でした。

飲食店や量販店の店員さん、営業で歩くサラリーマン、学校や塾の先生など、狭窄症になると立ち仕事がつらいと訴える人がたくさんいます。中には、休職を余儀なくされる人も少なくありません。

狭窄症の人が立ち仕事をつらく感じられる理由は、立っているときは、座っているときや寝ているときに比べて、硬膜外圧が著しく高くなるからです。
硬膜とは、脊柱管内で神経が収まっている袋状の膜のことで、硬膜への外部からの圧力が高くなると脊柱管が狭まって、狭窄症に特有の神経症状が出やすくなることがわかっています。
日常生活には、立ち仕事以外にも、立った姿勢を長時間、強いられる場面が少なくありません。
例えば、朝の満員電車での通勤です。長距離通勤の人であれば、1時間も立ちっぱなしということも珍しくないでしょう。それに加え、多くの人が密集する電車内で人波に押されれば、体勢が大きくくずれてしまい、腰にさらなる負担がかかってしまいます。

そのほか、生活で困っていることの回答で多かったのは「買い物」が24%、「庭仕事」が23%となっていました。以下、「掃除」が17%、「炊事」が16%、「靴の着脱」が10%、「車の運転」が6%と続きます。
こうした動作も、歩行を伴うものや、立ったり座ったりしたまま長時間、同じ姿勢を取りつづけるものが多いことがわかるでしょう。

脊柱管狭窄症の治療経験者から貴重なデータも

腰部脊柱管狭窄症の実態を探ることを目的とした今回のアンケート調査では、
狭窄症の治療について、どんな治療を受けましたか?(複数回答可)と、効果を感じられた治療法はなんですか?(複数回答可)という二つの質問もを設けました。
医師が効くと考えている治療と、患者さんが実際に効いたと感じた治療の差がよくわかります。

1位が手術、僅差で運動療法が2位になりました。

詳しくは、どれが効く? 脊柱管狭窄症の主な治療法まとめ10~体験者アンケートの結果も~をご覧ください。

・記事の内容は安全性に配慮して紹介していますが、万が一体調が悪化する場合はすぐに中止して専門医にご相談ください。
・医療機関にて適切な診断・治療を受けたうえで、セルフケアの一助となる参考情報として、ご自身の体調に応じてお役立てください。
・本サイトの記事は、医師や専門家の意見や見解であり、効果効能を保証するものでも、特定の治療法・ケア法だけを推奨するものでもありません。

狭窄症Part02_cover.png出典:わかさ夢ムック13 脊柱管狭窄症に絶対勝つ!
新研究で続々わかった!あっと驚く自力克服道場パート2
http://wks.jp/mook013/
著者:清水伸一

●脊柱管狭窄症をいちから知りたい方は、ぜひ下の記事をご覧ください。


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