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【治す】自力改善

脊柱管狭窄症で歩けない! [重症度別]歩行力アップ法&緊急対処法

著者:清水伸一

脊柱管狭窄症による間欠性跛行(細切れにしか歩けなくなる)を抱えながらも、病気とうまくつきあって、上手に対処している人がいます。普段の歩き方や姿勢を少し変えるだけで、脊柱管狭窄症による間欠性跛行の苦痛を和らげ、長く速く歩ける方法を紹介します。

まずは前かがみで休んでみる。回復するなら自力克服の可能性大

神経性の間欠性跛行が起こる直接的な原因は、脊柱管狭窄症によって脊柱管が狭くなり、神経根や脊髄(背骨の中にある神経器官)の末端に当たる馬尾が圧迫されるためです。

その結果、神経の血流障害が生じて酸素や栄養の供給が滞り神経の働きが低下し、やがて痛みやしびれ、異常感覚が現れて足を動かせなくなるのです。
神経性の間欠性跛行があっても、症状を抑える工夫をすれば一度に歩ける歩行距離を延ばせます。その一番のコツは、必要に応じて一時的に前かがみの姿勢を取ることです。
背中と腰を丸めて前かがみ姿勢を取ると、脊柱管が物理的に広がり、神経の圧迫がゆるむので、痛みやしびれ、異常感覚が和らいで歩きやすくなるのです。その方法として、杖や、シルバーカー(手押し車)を使えば自然に前かがみになるので、歩行距離が延びます。

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とはいえ、前かがみがクセになるのは長期的に考えると、腰痛を悪化させたり、ほかの関節痛を招いたりする原因になるので好ましくありません。
基本的には背骨本来のS字カーブ(ナチュラルライン)を意識し、自分なりのニュートラルポジション(それ以上に反らすと症状が現れる上体の傾き)を保ちながら歩くことを心がけ、必要に応じて一時的に前かがみ姿勢を取ることが望ましいでしょう。

杖をつくときは、初めはニュートラルポジションをキープしながら体の横につき、しびれを感じはじめたら体の前でつくようにして前かがみ姿勢を取ってください。シルバーカーも最初はニュートラルポジションをキープして体のすぐ近くで押して、しびれを感じたら少し前に出して押せばいいでしょう。

痛みの予兆がきたら「おじぎストレッチ」を10回

ふだん歩くときも、前かがみ姿勢の原理を利用すれば症状の緩和に有効です。
私は、間欠性跛行に悩む脊柱管狭窄症の患者さんに歩行距離を延ばす工夫として、立って行う「おじぎストレッチ」を指導しています。
おじぎストレッチは、間欠性跛行が起こりそうになるたびに行ってください。まず、立った状態で痛いほうの足を半歩ほど後ろに引いて両足を前後に広げます。このとき、ニュートラルポジションを取ります。

そして、あごを引き、深くおじぎをするような要領で前屈したあと、上体をニュートラルポジションに戻せばいいのです。おじぎストレッチの回数は、10回程度を目安にくり返し行えばいいでしょう。

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間欠性跛行が起こりそうになるたびにおじぎストレッチを行うことで、痛みやしびれが和らぎます。そして、しだいに歩行のコツをつかんで歩く速度が上がり、短い距離ならかけ足ができるようになる人もいるようです。

軽度の人は「振り子歩き」で歩行力回復

歩行力があり、一定の距離なら歩ける軽度の神経性の間欠性跛行の患者さんに適した歩き方が「振り子歩き」です。振り子歩きとは、大腰筋と足を連動させて、時計の振り子のように動かす歩き方です。

大腰筋とは、腰椎(背骨の腰の部分)と大腿骨(太ももの骨)をつなぐ深部筋肉で、位置としてはみずおちの奥から左右の足のつけ根にかけて走っています。
大腰筋を動かすと腰全体を使って歩くことになるので、狭窄部位の負担が減り、神経根や馬尾の圧迫が軽減します。
また、太ももを前後に大きく広げることで歩幅が広がり、歩行距離が稼げます。

振り子歩きを行う上で重要なのは、大腰筋と足を一体と考えることです。
みぞおちにまたがあるようなつもりで、大腰筋を振り子の始点と考えて足を大きく振り出して歩いてください。
上半身はニュートラルポジション(それ以上に反らすと症状が現れる上体の傾き)まで起こし、視線は前方に向けたまま上に伸び上がるような姿勢で太ももを前後に大きく振って歩きましょう。

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痛みやしびれが現れそうになったら、立ち止まっておじぎストレッチを行い、症状を和らげてください。
振り子歩きをやれば、歩行力が回復し姿勢もよくなるので、気持ちも前向きになれます。

中度の人は転びにくい「両手杖歩き」。コツは爪先の20cm前に杖

神経性の間欠性跛行(こま切れにしか歩けなくなる症状)が起こって家に引きこもりがちになると、足腰の筋力が衰えて歩行力が著しく低下します。

そこで、足腰の衰えが目立つ中度の人の歩行訓練には、「両手杖歩き」をおすすめします。ふつう杖は一本で使い、痛みが強いほうの足と反対側の手に持つのが基本です。杖を足の前に出して体重を杖で受け止めながら、前かがみの姿勢を維持しつつ痛みが強いほうの足を前に出せば、足腰の痛みやしびれをかばうことができます。
しかし、一本杖は安定性に欠け、転倒する危険があるほか、上半身の重みが手首やひじにかかるので、長く歩くと手首やひじを痛めてしまいます。

両手杖歩きは、二本のウォーキング用の杖やT字杖で行います。二本の杖なら、安定感が増して転倒防止になり、上半身の重みが分散できるので手首やひじを痛める心配が減ります。

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柄がスキーのストックのようなウォーキング用の杖はたいてい伸縮するので、持つところを自分の胸の下の高さになるよう長さを調節してください。
通常、杖をつく位置は、踏み出そうとする足の親指のつけ根の真横が目安ですが、人によっては腰が反って神経の圧迫が強まることがあります。脊柱管狭窄症の人は、爪先の20㎝ほど前に杖の先端を左右交互につき、体を押し出すようにして歩いてください。これなら、歩ける距離もスピードも増します。

100m歩けない重度の人は「ベタ足歩き」で神経圧迫を回避

腰部脊柱管狭窄症で間欠性跛行(こま切れにしか歩けなくなる症状)が起こるのは、坐骨神経痛(痛み・しびれ)だけが原因ではありません。足裏のジリジリ感や肛門のしびれといった下半身の異常感覚によって歩行が妨げられるケースもあります。

特に、足裏の感覚に異常が起こると地面を踏みしめている感覚が乏しくなり、一度に100mすら歩けなくなってしまうことが少なくありません。また、ふらついて体のバランスを維持することが難しくなり、転倒の危険も大きくなります。

そこで、異常感覚を伴う重度の間欠性跛行の人におすすめしたいのが「ベタ足歩き」です。ベタ足歩きは、爪先とかかとを同時に「ベタッ」と地面に着け、足底全体で着地するのが特徴です。
くわしいやり方は、次の図を参照してください。

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実際にベタ足歩きを行うと、歩行の安定感が増して、ふらついたり、よろけたりすることがなくなります。
それは、本来、私たちの足底が母趾球(足の親指のつけ根)、小趾球(足の小指のつけ根)、かかとの3点で支えられているのですが、ベタ足着地によってこの3点支持が最大限に発揮されるようになるからです。

もう一つ、ベタ足歩きの利点として、脊柱管(神経の通り道)の狭窄を防ぎ、歩行中に現れる症状を小さく抑えられることがあげられるでしょう。かかとから着地し、爪先でけり出す歩き方だと、かかとで着地するときに腰が反って脊柱管が断続的に狭くなります。そのため、間欠性跛行がどうしても生じやすくなるのです。
実際に、ベタ足歩きを行うと一度に歩ける距離が30〜40mくらい延びる人が大変多いのです。

狭窄症Part01_cover.png出典:わかさ夢ムック1 腰と首の脊柱管狭窄症に絶対勝つ!あっと驚く自力克服道場
http://wks.jp/mook001/
著者:清水伸一

●脊柱管狭窄症をいちから知りたい方は、ぜひ下の記事をご覧ください。


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